【墓じまいと改葬】③墓参りするのは子。だから子のために墓を作る

アフロ大仏暮しの教科書

お墓を建てるにあたり、参考にしようと墓地をたくさん見て回った。

荒れたお墓が多いことに驚いた。草に覆われた墓や、ひどいのになると石が倒れたまんまになっていたり。これが現実。手間をかけて改葬しても、明日は我が身と思い知った。

せっかくお墓を建てるなら、ちゃんと継承して欲しいし、できれば草ぼうぼうの中に放置なんてことありませんように・・・

先のことはわからない。でも、少なくても息子の代は何とか頑張って欲しい。そのための啓もうは、しっかりやっておこう。

うちのお墓を継ぐ息子たち。私がかつてそうであったように、お墓には全く興味なし。

そんな彼らが『気楽に継げるお墓作り』をなによりがんばった。そのために打った対策あれこれ。

スポンサーリンク

継承問題、息子がキーパーソン

自宅から徒歩圏にお墓を持つ事にした。その時の話↓

お寺で契約を交わす段階になり、住職からこう尋ねられる。

住職
住職

後継者いますか?

トキワ
トキワ

後継者?えぇ、息子が・・・

その時、後継者がいないと、お寺にお墓を作れないのだと、そんなことに初めて気が付いた。

重視されるのは、購入する私たちではなく、『管理できる子がいるかどうか』だったとは。いきなりあの世に葬られたかのような・・・

これまで、お墓のことは夫婦間で粛々と話を進めてきた。決まったことを引き継げばいいと思っていた。でも、ちょっと考えを変えた。

彼らがキーパーソンなら、主役の彼らを抜かして事を運ぶわけにはいかない。

継承者を確保

早速彼らを巻き込むことにした。

息子
息子

お墓なんていらなくない?

そこにお金かける意味わかんないし。俺たち要らない

トキワ
トキワ

そう言うと思った。お墓田舎に置いといてもいいよ。
ただ、いちいち新幹線に乗るって面倒かも

息子
息子

めんどくせえ。で何すりゃいいの?

トキワ
トキワ

管理料を年2万円払ってくれれば助かる

息子
息子

だけ、ね?

しょうがない、やるわ

これで正真正銘、継承者を確保した。

継承しやすいお墓の条件

『息子が気楽に継げる』を目指して、私たちが取り組んだのは、この3つ。

  1. 親子で価値観を共有する
  2. 管理が楽(お墓詣りしやすい・お金がかからない)
  3. 継承に値する墓を作る

価値観の共有

お墓の話は、つまらないと息子にすぐ逃げられる。その袖をつかみ「どう思う?」「どっちがいい?」と。

親と私たちの世代の価値観が違うように、息子と私たちもまた違っていて、ドライさが増すというか・・・

『建之者名(お墓を建てた人の名前を竿石に彫る)』ってどう思う?と聞けば、「それって売名行為でしょ?」。

じゃあ『墓誌(誰がお墓に入っているかと言う名簿の板)』は?「個人情報じゃん」。

何事も一刀両断。

私たち夫婦も十分合理的だけど、さらに歯切れがいい。なるほどなぁと感心したり、そこまで言うかと悲しくなったり・・・

命のバトンタッチをしているような、不思議な気分にもなってくる。これ以上私たちが年取っていたら、リアルすぎて、きっと疲れ果てたに違いない。

管理が楽(お墓参りしやすい)

田舎の墓が、新幹線が必要なほど不便だったから、お参りしやすいことには、とことんこだわった

 そのために改宗も厭わなかった。浄土真宗から曹洞宗に改宗。

  • 自宅から徒歩圏
  • 遠方に住んでもアクセスが良い
  • 足が弱ってもお墓詣りできる

という条件で探し、自宅から徒歩10分ほぼフラットな墓地を見つけた。

電車もバス便も頻繁にあり、交通の便は問題なし。駐車場も完備。将来、家を出たとしても関東圏なら楽々日帰り可能。

 管理が楽(お金がかからない)

《管理料・お布施》

管理料は、ちゃんと払ってくれると了解済み。

お布施についてもほぼ考えなくていいだろう。「必要とする行事がない。大がかりな改修も終わったばかり。何かあっても強制しない」と住職に伺っている。

私たち夫婦は檀家としてできる協力はするつもり。息子の代には彼の考えでやってくれたらいいと。

《戒名は最低ランク》

戒名は、最低ランクでいこうと決めた。

できれば、白洲次郎のように『葬式無用、戒名不用』と言いたいところ。世の習いに逆らうほどの勇気もないし。

義父がなくなった折、「父、こういうの(戒名)好きだったから」と、ランク表を見て逡巡する夫に、息子が言った。「そんなお金あったら、生きてる僕たちのために使った方が、おじいちゃんも嬉しいでしょ」と。

私たちの時も、きっとこんな調子でやられるんだろう・・・

《お墓の工夫》

お墓をすっきりさせたくて墓誌を省いたことが、ダブルで費用削減に。1つは作成する初期費用、もう1つは亡くなる度に墓誌に名前を刻むという、後の費用

さらに、我が家のように改宗して、戒名がごちゃごちゃでも、人目に触れることもない。ちょっと複雑な人間関係を明記されることもないし。

継承に値するお墓

継承に値するお墓。

私のイメージでは、お墓は家より長く残るものだから、 流行のないシンプルなもの。お墓参りに行って、自分の来し方を誇らしく思えるようなものなら、尚有難い。 間違っても、今風の軽いのはちょっと・・・

青山霊園・雑司ヶ谷霊園・谷中霊園あたりに参考物件を探しに行ってみることにした。

竹久夢二の墓

これは雑司ヶ谷霊園の竹久夢二の墓

私の理想は、こんな感じ。素朴で、暖かくて、シンプルで、チャーミングで・・・

お墓自体も素敵だけど、花が手向けられてこそのお墓。そんなことを感じたのもこのお墓。お参りする人の気配がますます、このお墓を素敵に見せるよう。

とはいえ、結局お墓は譲り受けたので、自分で1から作ってはいない。できるだけ装飾をそぎ落とし、お墓巡りで学んだ余白をとることを、心がけただけ。

シンプルなお墓は掃除も楽だと、今実感している。

まとめ

子に迷惑をかけない永代供養の墓』この頃チラシでよく見かける言葉。

私は、お墓の管理くらい子がいるなら、やってもらっていいと思っている。やってもらう代わりに、こちらもできることはやっておいてあげようと。これもお互い様

親子で話し合ってお墓を建てて、今思うのは、「お墓詣りに行きたい、会いたいと息子に思ってもらう親でいなきゃ」ということ。死ぬまで気が抜けないなあと。