「もうくたびれた」と母からSOS。
急ぎPCR検査をうけて、細心の注意を払って帰省した。
1月前、父は治らない病気だと診断を受けている。元気が自慢だったから、奈落の底に突き落とされた心持ちなんだろう。それ以来、すっかり重病人のつもり。
「この気持ちは、なってみないとわからない」としおれていると思えば、抱えきれないストレスを周りに発散するかのように、火を噴く。
そういや、言動にも不具合あり。
89歳になっても、こんなに動転するもんなんだ・・・
いよいよ親の介護が目の前に。
病気を受け入れられない父
老夫婦2人暮らし。肺の病気だからコロナには細心の注意を払っていて、以前にも増して2人っきり。
そんな中、開けてもくれても父の話題は自分の体調のことばかり。母はそんな辛気臭い話がストレスに。
父の症状
半年ぶりに会った父は、いたって健康そうに見えた。
本人は食欲がないことを気にしているが、体重が若干減ってかえって適正体重。私がいる間はまあ食べていたし、おやつは食べ過ぎだとも感じた。
数日過ごすうちに、アレ?と思うことがポツポツと。
《父の怪しい行動》
- 薬を正しく飲めない
- 薬をやたらと飲みたがる
- 血圧・脈・熱を頻繁に計る
- すぐに救急車を呼びたがる、入院したがる
- 医者の指示を勝手に解釈
まず処方された薬の管理が怪しい。飲んだ飲まなかったと何度も数え不安になり、あちこちにメモ書きし、そのメモにまた振り回されている。
「心臓が痛いからカロナールを飲んだ」。まるで栄養剤リポビタンのように、事あるごとにカロナールを飲んでいる。何に効くの?と問えば、「解熱と体調全般」だと言っていた。
血圧・脈・熱を頻繁に計る。時には1時間もたってないことも。それを几帳面に記しているには、「看護師さんに褒めてもらえるから」だと妹の言。
何かといえば「体調が悪いから入院させてもらいたい。救急車を呼びたい」と騒ぎ立て、病院に電話する。
毎回診察時に胡散臭い情報を披露するものだから、「素人があまりネットでいろいろ調べないように」と、主治医に忠告されたと母が恥ずかしがっていた。
「旅行もいいですよ」と言ってもらったのに、「バカを言え、体調の良い時に、家の周りをゆっくり散歩するくらいなら良いですよ、と言われたんだ」と本人は信じている。
どう見ても、病気に対する覚悟が足りない。
母の対応
そんな父の最大の被害者は母。
次の診察は1月後でいいと言われているのに、なんだかんだと毎週病院通いに付き合わされているらしい。その間にも、薬がなくなったと取りに行かされたり。
「ペットボトルの水しか飲まない」と言えば買いに行き、部屋の汚れを指摘されては掃除して、勝手な暴言に、仕方なしに付き合っている。
母も80歳超え。父の病気がわかるまで、母の方が体調が悪かった。重いものも持てないし、あまり長くも歩けない。車の運転もしていなかった。それが今では、一人でなにもかも。
料理の宅配やタクシー使ったらと勧めても、まだ自分でやりたいといって聞かない。価値観が昔の人だから。
そんな母が一番こたえるのは、「入院したい、救急車を呼びたい」と父が騒ぐ時だそう。どうしていいのかわからなくなって、パニックになるらしい。
とにかく父に振り回されている。
父の取説
「ずっとここにいて欲しい」なんて言うからびっくりした。そんな弱音を吐く母じゃなかった。
父は変わらない
父は昔っから、人の話を聞かない人で、今は聞かないんじゃなくて、聞けなくなっている?
そう思っちゃいるけど、真正面からぶつかって、父をやり込めてしまう私は自他ともに認める長女気質。母も妹も上手く流しているのに、それがどうにもできない。
せめて得意な料理を食べさせた。食欲がないといっては、おやつやアイス、ジュースばかりの父に、あれこれと食べやすそうなものを作っては食べさせた。「お肉や魚を食べないと元気が出ないよ」と繰り返し伝えながら。
まるで子供のようにしおらしく食べていたっけ。
変わらないといけないのは父じゃなくて私。
母へのアドバイス
目の前で「救急車を呼ぶ」なんて言われると、母にとっては緊急事態宣言。もう生きるか死ぬかの状態に思えるらしい。
2人の様子を見ていると、父の不安が母に乗り移り、母のパニックな雰囲気に父が共鳴し、2人でてんてこ舞いする、という感じ。
これじゃ疲れる。
母に必要なことは、
- 病気を正しく恐れること
- 気分を変えること
父の病状が、本当のところどうなのか。緊急かどうかを母が判断する方法について。この2つを病院に確認してみた。
あくまでも目安ということで回答はこのとおり。
- 急にどうこうという病気ではない
- 血圧・脈・熱が正常ならば、一応大丈夫。
- ホントに危険なら、自分で電話できる状況にないだろう。第三者が異変に気付くと言うパターンが多い。
こんなアドバイスが母を楽にした。
母自身、自分の具合が悪い時の状態と重ね合わせて、ストンと落ちたらしい。
父はいつも自分で「救急車を呼びたい」と電話すると言う。
ついでに、薬を飲み過ぎることも尋ねると、間隔さえ開ければ、こちらで出している薬なら、何をどう飲んでもまあ大丈夫だと、アドバイスをもらった。
いつも父の言動に注視していた緊張が、溶けたみたい。聞いてみてよかった。
父の感情を先回りして「顔色悪いんじゃない?」という母に、マイナスの声掛けはやめた方がいいんじゃないかと、私の意見も付け加えておいた。父がその気になると面倒だから。
まとめ
自宅に戻ってから、実家に頻繁に電話するようにしている。母の気分転換に。
いよいよ親の介護がやってくる。そんなことを実感した帰省だった。
以前はこんなことに悩んでいたのに・・・↓