次男に、子供の頃習ってよかった習い事は?と尋ねると、すかさず「ボーイスカウト」と答える。
彼曰く「今でも友達でいられるのって、スカウトだけだから」。
『スポーツが苦手でも体を動かすことを楽しんで欲しい』『学校以外に居場所を作ってあげたい』『たくさんの人に関わってもらって子育てしたい』そう願って入れた、ボーイスカウト。
2人の息子は共にスカウト経験者。でも、団が違う。
長男を入れた団は、はっきり言ってハズレ。ここしか知らなきゃ、「ボーイスカウトけっこうヤバいよね~」なんて言ってたかも・・・
ところが、次男が入った団は全く違う。
楽しすぎて面白すぎて、それでいて統率のとれた集団だった。次男はここで育ててもらったし、孫がいればまた入れたいくらい。
そんなスカウトへの熱い思いと、入るなら団はちゃんと選んだ方がいいよ、という話。
ボーイスカウト、団によって違うこと
入る団は自由に選べる。
てっきり、地域のしばりがあるんだろうと思い込み、「見つけた!」とたんに入った事、後悔してる。こんなに団によって違いがあるなら尚更。
長男の団の場合
長男の入った団は、制服をきっちりと着て整列ばかりしてるイメージ。活動はロープワークだったり、募金や障がい者施設の慰問だったり・・・小さな団で、田舎の分校のようにいろんな年齢のスカウトが一緒に活動していた。
トップがやたらと威張っていて、団を私物化している気配。不信感から改革派リーダーがのろしを上げ、最後は傷つきあって空中分解。
スカウトも要するに人。結局、長男は道半ばで退団した。
「ホタル一緒に見に行かない?」
別の団に入った友人が、活動に誘ってくれた。
「それ遊びじゃないの?活動?」
軍隊の様な訓練しか知らなかったので、こんな活動があるのかと驚いた。
夕方に広場に集合。リーダーと一緒に歌て踊って、ゲームして、持参したおにぎりを食べた。おやつも出るし、まるで夜の遠足みたい。
そうやってるうちに辺りが暗くなってきて、いよいよホタル狩り。持参した懐中電灯の明かりを頼りにしばらく進むと、「懐中電灯消して」と伝言ゲームのような申し送り。それからは、真っ暗闇をそろりそろり。ホタルを見つけたとたん、「シー」「シー」と言いあうスカウトたちの熱気。
その行き帰り、障害のある子をリーダーが順番に背負っていたのが印象に残る。ホタルがどのくらいいたのかは覚えてないけど・・・・
あ~先にこの団に出会えば良かった。
次男の団の場合
次男は、迷わずそのホタルの団に入れた。
人見知りのひどい子で、ちょっとやそっとじゃ感情も出さなきゃ、動こうともしない。
こんな子でも、行くのは嫌がらず、ただ見て、おやつを食べて帰ってくる。
そんなお試しを繰り返したある日、4杯目のフルーツポンチをお代わりしようとした次男に、「フルーツポンチお代わりするなら、入るんだぞ」とリーダー。意外にも、こくんとうなずいた。
ナイスタイミング。そして、食い意地が張ってる彼にぴったりの殺し文句。
こんな堅物にも、ちゃんと居場所ができた。
ボーイスカウト、良かったこと
スカウトの団って、大きな家族で小さな社会。まるで、本物の社会にでる前の社会練習みたい。
時には、理不尽なことを飲んだり、なにかと我慢しなきゃいけないこともある。そんなプチストレスをプチプチと経験できたのが、有難い。
次男の目から
内気な次男が一皮むけたのも、そんな体験を重ねたお陰。
次男が良かったと思うこと。
1.ずっと付き合える友人がいる
幼稚園や小学校では作れなかった幼馴染が、ここにいる。初めて彼を認めてくれた仲間。
成人式もつるんでいたようだし、ひょっこりキャンプにも出かけてる。「米1合」をナイロン袋に用意する馴染んだ動きですぐわかる。
2.キャンプに自信がある
スポーツが苦手で、運動会でヒーローになれない子供だったけど、運動は一番になることより楽しむことだと会得した。今も下手の横好き、スポーツが大好き。
スカウトとしてはポンコツだけど、それでも一応スカウトだから、なんとかテントも張れるし、どこででも寝られる、なんでも食べられる。
そんな自分が悪くないらしい。
母の目から
新米母だった私もこの団から学ぶことは多かった。特に、リーダーのボランティア精神には頭が下がる。
1.自分の子の本当の姿
活動を手伝う時、自分の子供に関わってはいけないというルールがあった。
ホントにいろんな子どもがいるということを実感した。そして、そんな中でわが子の立ち回る姿を、大勢の一人として見ることができた。ある時は好ましく思い、ある時はしかりつけたい思いに駆られながら・・・
2.アウトドア苦手を解消
私は苦手なものは避けて通ってきた。アウトドアもしかり。
この根性のない自分がイヤで、息子たちを鍛えたくてスカウトに入れたわけだけど、そこで、私まで鍛えられる羽目に。
苦行としか思えない登山も、たった1つのシャワーに長蛇の列を作るのも、大勢で寝るのも、へんなゲームや歌、劇を演じたり・・・どれもイヤでたまらなかった。でも、息子の手前、イヤだとは言えず、我慢してたらなんとか乗り越えた。
やればできる。
3.子供と共通の思い出
「思った通りに組の人が動いてくれない」という悩みを帰る道々聞いたこともある。私が講師になってうどん作りをしたときは、嬉しそうにしてくれた。
小学5年までだけど、息子の成長を近くで眺められたのは、親としていい時間だった。
身体を張ってつきあったあの時のスカウトたちが「おまえのかーちゃん元気?」「相変わらず」なんて話してると聞けば、愉快な気分になる。
まとめ
自分の子の成長を見守ってくれる大人が、ここには要る。それが、子育ての支えになった。次男の団は、そんな優しさが満ちていた。ヤバいどころか、こんないい活動ないって思う。
ただ、団はしっかり選ぶように。