『節約』と『豊かさ』は両立しないもんだと思っていました。
でも、ドイツに長く住んでいた知人の暮らしぶりを見ていたら、どういうわけか、節約しているのに豊かさにあふれています。
ドイツでは、買わない暮らしが普通だそうです。
買わずにどうするかと言うと、手作りしたり、誰かに手伝ってもらったり・・・
買うより、ずっと手間のかかることをやっています。それもイヤイヤじゃなく、楽しんで。
このワンステップを、自分磨きだったり、コミュニケーションツールにしているようにも見えます。
便利さに目を奪われていては、見えなかった暮らし方。素敵だなと思い、暮らしのヒントとしてまとめてみました。
買わない暮らしは節約じゃない
「買わない」といえば、節約、がまん、ストイックさを感じます。かたや、ドイツの「買わない」には、丁寧に暮らすという意味合いがあるように思いました。
買わない代わりに工夫する
買わなくても、欲しいものを手に入れることができます。
ドイツ帰りの彼女の実践しているのはコレ。
- 作る
- 人を巻き込む
こんなこと、ひと昔前の日本なら普通にやっていたことかも。でも、今はみんな忙しすぎて・・・
作る
彼女は着なくなった洋服を「キルト」にして、ケットやベッドカバーとして日常に使います。やっつけのリメイクじゃなくて、丁寧に継ぎ合わせて美術品の域。
私の母も、もったいないと捨てられない人でしたが、作ったのはせいぜい座布団カバー。古布に手間をかける、そんな発想はありませんでした。
丁寧に選び、そして大事に扱われた洋服だから、こんな風に手間をかけられるんだと思います。長いスパンでモノを大事に扱ってきた証ではないかと。これこそ暮らしの豊かさじゃないかと・・・
家族の歴史が、いつもこんな風にそばにある。そして温かく包んでくれたり、時には話の接ぎ穂になる。
ちょっとうらやましくなりました。
河原で拾った石が箸置きとして使われています。これも作ると言えるかも。
この石がこの食卓にのぼるまでに、どれほど手間と時間をかけたのでしょう。こんなのなら真似できる四国の川だそうですが・・・
人を巻き込む
オープンで、人を巻き込むのがとてもうまいんです。
「床にワックス塗る時の名簿に加えておくね」と言われ、「えっ、あっ、はい」と。
「欲しい絵があったから、手持ちのティーセットと交換した」「ドイツ語を学びたいから、日本語を学びたい人とペアを組んで教えあった」
こんな物々交換もドイツ流だそうです。最初に聞いた時は面食らいましたが、「そういう手もあったんだ」と。人間力が試されそうですが・・・
ちょっと私たち日本人、人との垣根が高すぎるのかもしれません。
暮らしにスタイルがある
エアコンがない。
真夏の関東です。よっぽどお金がないか信念ががないと、この選択はありえません。
強いんです。
代わりに、断熱や風の流れに、とことんこだわったと言います。涼しい工夫も暮らしの知恵。
もっと知恵を働かせろと言われているような・・・
私も、いろいろ考えて家を建てたつもりですが、まだまだ甘かった。専門家にお任せしますみたいな部分が多かったのかなと。
買わない豊かさ
買わないけど豊か。これはなぜ?どこにお金を使ってるの・・・
お金の使い道
私の観察によると、おそらくこんな感じじゃないでしょうか。
- 体験
- 目を肥やす
- 人と交流
モノじゃないものにお金を使っている印象。
さすが~と思ったのが「旅のやり方が外国人」なこと。
寺社仏閣をラリーみたいに回るなんて絶対しない。何気ない自然を愛で、のんびり時間を過ごすような感じでしょうか。
貧乏性の私には、憧れても一生縁がなさそうな旅。
美術館や博物館、シアター、ミュージカル・・・そんなのにもよく足を運んでいるようです。良いものを見て、センスに磨きをかけている?どうりで話題にも事欠かないはず。
そしてなにより、人との交流。人を招きなれています。時には知らない人が混じっているのよねと。
語学が堪能って、こんなに豊かな交流が生まれるんだと刺激を受けた私、今更ながらNHKラジオ講座を始めました。それだけじゃないんでしょうが、小さな一歩から。
美味しいものを食べる
まだまだあります。
彼女ものすごく料理上手。
それ故、旬のフレッシュな食材を手に入れる、使いやすいキッチン道具を手に入れるようなことには、手を抜かなさそう。
コーヒーリキュールまで手作りのティラミス、初めて頂きました。
ドイツで工夫して日本食を作った経験、ドイツ仕込みの料理、そんなものが絡んで生み出される料理の数々。外食じゃ食べられない(買えない)ごちそうに違いありません。
「レストランで食べると高いし、ゆっくりできないから」このクオリティ、そんなものじゃありません。
妻の友人が来たときは夫がサービスし、夫の友人が来たら妻がサービスするというドイツシステムも、ぜひ夫に学ばせたい。
まとめ
伺う度に「こんなのを豊かさっていうのね」と目をキラキラさせ、気づきをちょっと持ち帰ります。
ドイツ帰りのこのご夫妻、なんとも刺激的です。
こういう風に暮らしたい、年を重ねたいと。