花束を抱えて、次男が帰ってきました。
奇しくも私の誕生日。
この日、大学受験と共に7年越しの中学受験が、やっと終わりました。
今なら笑って話せます。あの時のこと。
子に、しなくていい挫折感を味わわせてしまった苦い思い出。
「もう悲しい思いはさせまい」と、過干渉になった日々。
すべては一人相撲でした。
いつの間にか、子は親を乗り越えて成長していました。親はその力を信じて、見守ってればよかったんです。
今ならわかります。
こんな未熟な母の右往左往を、記しました。
中学受験、親の責任
息子たちは、共に中学受験をしました。
するりと第一志望に受かった要領のいい兄に憧れ、自分も同じ学校に行きたい、中学受験をしたいと言い出した次男。
その結果が、まさかの全滅。
地頭だけで生きてる長男のこと↓
いや、心の片隅で心配していたことが、現実になっただけなのかも。
小さな時から緊張に弱く、「ここぞ!」という時に力が出せない、シャイな子でした。
以来、次男に対する負い目のようなものが、私を過保護に走らせました。
中学受験のトラウマ
忘れもしない中学受験初日。
滑り止めのつもりで受けたにもかかわらず、校舎から出てきた息子は真っ青でした。
「目が真っ白になって、何も見えなくなった」
「いつから?」初っ端の「国語から」。親も青ざめます。
2日目、好奇の視線を浴びつつ、しゃくりあげながら出てきました。
「よっぽどできなかったのか」と問えば、「昨日のテスト発表があると思うと、悲しくなって涙が出てきた」と。
まだ受験は続きますが、もう受験どころじゃない。
食欲もなく、生気のない次男を抱きかかえ「もうやめようよ」と促しました。
ところが、「いやだ!合格したいから、頑張って勉強したんだから!」とかたくなに拒みます。
最終日、会場から出てきた次男に、志望校の不合格を伝えました。
そして、泣き崩れる次男を連れて、半日海で過ごしました。
貝殻を拾い、砂の山を作り、石投げをし、あの光景は今でも目に焼き付いています。
「人生は長いこと、最終目的は中学受験じゃない事・・・」いろんな話をしました。

受験反対から偏差値競争へ
あの時、塾の講師は、うなだれて受験会場に向かう次男に走り寄り、叱咤激励しました。
競争心を煽る声かけに、怯える子なんです。
最後まで守ってあげられなかった。
次男はゆっくり成長するタイプ。長男とは真反対なのに、安易に同じ塾に入れたのが、間違いでした。
もともと、中学受験を毛嫌いしていた私。
ところが、夫の勧め通り受験した長男が、あまりに楽しそうなんで、それもありかと・・・
そしたら、あれほど熱心だった夫は、なぜか次男の受験勉強に興味なし。
しょうがなく、無知なままスパルタ塾にダイブして、おぼれたんです。
次男は追加出願した学校に進学しました。受験で初めて行った学校ですから、合格を喜ぶでもなし、入学式にも沈んだ顔で出席しました。
でも、この学校が合っていた。次男のような、おだやかな友人に恵まれ、学校生活も楽しそうでした。
合格した学校が、本人にとっていい学校と言われます。負け惜しみでしょ?なんて斜に見ていましたが、これはホント。
中学受験から大学受験までの成長

あれから6年。
次男は順調に高3になりましたが、私が高3の親になるのは、ちょっと大変でした。
引きずった過干渉
彼が、中学に入学した時、「もう挫折を味わわせたくない」「なんとしても楽しい学校生活をさせてあげなきゃ」と、意気込んだのが良くなかった。
失敗しないよう先手を打って口出しし、穏やかすぎる性格を変えた方がいいと、とんちんかんなアドバイスもしました。
愚直な次男に「もうちょっと要領よくやったら?」と何度言った事でしょう。「推薦ってどう?」そう耳打ちしたことも度々。
そのうち、なにをやっても空回ってる違和感があり、ママ友に愚痴ったんです。
「うちの子ったら、ほんとにバカだから」って・・・
そしてら、「息子、褒めてあげてる?」て聞き返され、ハッとしました。そういや、近頃褒めたことないかも・・・
いつも「もっと、もっと」と、要求ばかり。等身大の次男を、見てなかった。
自分の愚かさに気が付きました。
次男を、要領のいい、立ち回りの上手い子にしようと、していたんです。失敗させたくないばかりに。
担任の先生は、「彼の真面目な姿が、友人の信頼に結び付いている」と言ってくださいました。
友人が、先生が、彼を認めてくれているのに、親が認めていなかった。
彼には彼の個性があって、彼なりの成長がある。それを尊重すべきなのに、私、つぶしにかかっていたんです。
それ以来、心して距離を取りました。私の出る幕はないとはっきりわかったので。
中学受験とダブる大学受験
彼らしい2年越しの受験となりました。
またダメだったら、やる気をなくすんじゃないか。「努力は報われない」と自暴自棄になるんじゃないか。
つい、いらぬ気を回しては、またまた反省。私の出る幕じゃなかった・・・・
受験の朝は決まって嘔吐下痢。こんなところ、全くかわりません。
食欲のない息子にいつも持たせた受験弁当の話↓
まさか泣いて帰っては来ないでしょうけど、小学6年の次男の姿がダブります・・・・
中学受験全落ちだって成長の肥やし
「おめでとう!」
そう言える日が、やっと来ました。
「ぼくは中学受験だけは反対だ!自分の子どもには絶対させない!大学受験を頑張ればいい!」
と、彼も威勢がいい。
ずっと、つっかえてたんでしょう。
中学に入るなり、心を強くしたいと、武道系の部活を選んだくらいですから。
「じゃあ、そうしたら」やっと笑って話せました。
中学受験、決して悪いものではありません。(長男は楽しみました)
私が、距離を取りそこなっただけ。
今思えば、私が子育てで心配したことの大半は、心配したようにはなりませんでした。
中学受験の全落ちだって、成長の肥やしです。
親は、どっしりと構えているのが一番。
「信じて見守る」これに尽きると、子育てが終わって、思うこの頃です。