高齢者のウォーキング会を手伝っていいます。
たくさんの元気な高齢者に会いましたが、とりわけ印象深いおばあさんがいます。
おそらく参加された中で最高齢の96歳。
華奢なかわいらしい雰囲気からは、想像もできない健脚ぶりでした。
長い上り階段も、遅れをとらず手すりさえ使いません。
しかも、ちょうどやってきたバスを見つけ、「お先に」と、駆け込み乗車して去っていったんです。
「今の見た?」「いったいなに者?」「どうやったらあんな風に長生きできる?」
興味津々、ご本人に直接尋ねてみました。
長生きの秘訣は、畑仕事にありました。
長生きの人は、歩くスピードが違う
96歳でバスに駆け込み乗車だなんて、違和感しかありません。
狐につままれたように思ったのは、周りにいた70代80代も同じ。その後、我に返って顔を見合わせ苦笑いしてました。負けたねって・・・
高齢者の歩き方
ウォーキング会は、シャキシャキ歩くというより、参加することに意義があるというようなゆるいもの。
ちょっと体力に自信のない方も参加しやすいので、歩く速度はてんでばらばらです。
元気に歩ける人はドンドン歩きたいし、そうじゃない人はトボトボと・・・
高齢になるほど、歩く速度に個人差があることを痛感します。
高齢者の歩き方を観察すると、
- すり足
- 歩幅が狭い
- まっすぐ立てない
- 直ぐ疲れる
- 速度が遅い
猿人アウストラロピテクスを想像させるおじいさんもいるし、反対に反り返っているおじさんもいて、斜めに曲がっているおばあさんに、太り気味のおばさん・・・・
気持ちよさそうにスイスイ歩ける人って、すごく少ないんです。
長生きの人の歩くスピード
高齢者はマイペース。
500メートルも歩けば列が間延びして、階段なんあった時には、それぞれ勝手に休憩を入れてきます。
私たちが牧羊犬のごとく、行ったり来たりしながら、なんとか集団でいられるという具合で。
それだから、初参加のおばあさんが96歳と聞いた時には身構えました。
90代の参加も記憶にないくらいなので、とびぬけて最高齢。
そんな人が、みんなと一緒に歩けるなんてとても思えません。
淡いピンクの洋服に帽子をかぶり、斜めにポシェットを下げて、手に小さな水筒を持ってるほんとに華奢なおばあさんです。間違えてきちゃったような。
「いざとなったら、支えてあげなきゃ」そんな気持ちで、そばについていました。
ところが、びっくり。
階段も手すりも使わずヒョイヒョイと身軽に上るし、3キロほどの工程ですが、遅れをとるどころか、遅れてくる人を待つ側にいます。
挙句に「ちょっと用事があるからここで」と軽く手を上げ、ちょうど停留所にやってきたバスに、小走りに駆け込んだんです。
私の母、80歳を前にして圧迫骨折で、既にあまり歩けないんですけど・・・
この違いを知りたいと思いました。
長生きの秘訣は畑仕事
それにしてもこの足腰の強さ。きっと本格的に鍛えているに違いありません。
ジムより畑仕事
「ジムとかに行って体鍛えてらっしゃるんですか?」と尋ねれば、「畑仕事くらいかしら」という答え。
耳もよく聞こえてるし、レスポンスも早い。高齢者にありがちなくどさもなし、とってもやわらかい受け答えをされます。
とても社交的な方のようです。
農家にしては色白だと思ったら、趣味で畑を借りて野菜を育てているんだそうです。
【畑仕事のメリット】
- 山の上の畑を借りているから、坂を歩く
- 水やり、草むしり、収穫と強制的に動かざるを得ない
- 何を植えよう、今日の作業は何・・と頭を使う
- 収穫を配るのでお付き合いが広がる
そう話してくださいました。
今はさすがに途中までバスを使ったり、水がない所だから息子さんのお世話にもなるようですが、かつては水運びもしていたそうです。
さらに「ジムだと言われたことをしてるだけでしょ?畑はいろいろ自分で考えなきゃいけないから飽きないのよ」と含蓄のあるお言葉まで。
畑仕事はメリットがたくさん
さらにこんなこともおっしゃいました。
- 収穫した新鮮な野菜を毎日食べている
- 新鮮野菜は栄養があって美味しい
「だから自分で作らなきゃ」って。
もともと健康に生まれついたと言われますが、それにしても・・・
思い出したのは103歳で亡くなった私の祖父のこと。
祖父も「会社で頭を使い、畑で体を使う」とよく言っていました。坂道を上るのがムチクチャ速くて、いきなり抜かれてびっくりした記憶があります。
独自の体操も日課としていて、食事にも牛乳を欠かしませんでした。
「頭と体を使う」「栄養に気を付ける」は2人の共通点。
そんな祖父を見てきたけれど、それでもこのおばあさんにはびっくり。
格が違う気がして・・・
私が思うに、「料理を自分で作る」ことと「社交性」じゃないかと。
彼女は一人暮らしで自立しています。自分の食べたいものを自分で作り、美味しいものを食べることにこだわりもあるようです。
そして、できた野菜を知人に配るのが楽しみだと言っていました。そんな生活をサポートしてくれる家族も近くに住んでいます。
まとめ
「長生きする人の特徴」は畑仕事でした。
畑仕事をとおして、体を使い、頭を使い、仲間を作り、新鮮な野菜を食べる。
このおばあさんに感化され、私も葉焼けを借りて、畑仕事始めました。