【半農半X】本業が土木業のおじさんから学んだ豊かさの正体

野菜の直売 ライフスタイル

散歩の途中で見つけた畑。

ゴーヤみたいだけどゴーヤじゃないし、キュウリみたいだけどキュウリじゃない。いったいなに作ってるんだろうと気になって、声をかけてみた。

「これへちま。沖縄の人に頼まれて作ってんの。沖縄じゃよく食べるらしいけど、この辺じゃ売ってないから」と人のよさそうなおじさん。確かにここは横浜。直売所を除いてみれば、こっちもずいぶん変わり種。

「これは道楽、本業は土木なの」

ってことは今はやりの『半農半X』?話せば話すほど、にじみ出る人間くささ。確かにやりたいことをやって心豊かに暮らしていそう。

反対に私ときたら、「つまんない」がいつもの口癖。こんな風に年を重ねていいのかと、ちょっと焦りを感じていたところ。

『半農半X』やったら豊かな人生送れるんだろうか。

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『半農半X』幸せそうなおじさん

私の畑

『半農半X』そんな言葉を知ったのはつい最近。

自分や家族が食べる分の食料は小さな自給農でまかない、残りの時間は「X」、つまり自分のやりたいこと(ミッション)に費やすという生き方です。

幸せ経済社会研究所

まるで子供の頃にはまった『大草原の小さな家』みたいな暮らしだろうと勝手に想像する。これは好きかも!

ちょうど1年前からグループで畑を借りて、野菜作りを始めたところだし。

そんな時におじさんに出会った。半農というには、ちょっと畑が広すぎるし、Xも農業が幅を利かしていそうだけど、兼業農家でもないし、やっぱ『半農半X』ということで。

喜んでもらいたくて農業

普通の直売所なら、売っているのは、キュウリ、ナス、トマト等々。

それがこの直売所では、ひょうたん、へちま、ピーナツカボチャ・・・そして馬糞。そのうち、手作りへちま水も並ぶらしい。全くヘンなモノばっかり。

人に頼まれたら「作らないわけにいかない」し、「つい取り忘れたらこうなる」と、店先の巨大なへちまを見て笑ってるんだから、採算はあまり考えてないんだろう。

「これはタワシにするといいんだ」と、作業そっちのけで、大きなトレーを持ちだし熱演して見せてくれた。それに絆されて、野球のバットみたいなのを1本持ち帰り、タワシ作りに挑戦してみることに。

結果大失敗。言われたとおり水につけ、ものすごい腐敗臭に耐えてたのに。やらなきゃよかった。まだ手が臭う・・・

おじさんにかかると、なんでも楽しいことばかりみたいに思えるのに。こんな風に私はいつもグチって、不満たらたら。失敗ばかりに目が向かう。

好きだから農業

ピーナツカボチャはレンジでチンで美味しく食べられると教えてもらった。でも、形がキュートだからハローウィンまで飾っておくつもり。

初めて食べたへちまは、とろとろとしてて美味しかった。

私の一番のヒットは、ひょうたん。なんとも大きなひょうたんで、かなりインパクトがある。でも、おじさんにとっては皮が薄くて割れやすく満足の出来ではなかったようで、来年再起を図るんだそう。

どれでも持って帰っていいと言ってくれたので、大事に持ち帰って、玄関のオブジェにした。

おじさんが子供のころから好きだったという農業。ワクワクが今も止まらないらしく、あれから、何度か真っ暗な畑でおじさんが作業しているのを見かけた。

そんなに熱中できるものがあるってうらやましいな。

『半農半X』の魅力は人間力にあり

へちま・ピーナツカボチャ・へちま

10月中旬には、1株100円でさつま芋堀りができる。破格ですねと言えば、その代わり、たくさんついてるのもあれば、ハズレもあると愉快そうに答える。

私なら1キロ100円にするかもと、あさましいことを考えてしまった。

自分をもっている自由人

じゃあ、さつま芋堀りは、ここに来ればいいんですか?と問えば、

「イヤ、ここじゃない。畑が4つあって・・・」

じゃ、いつどこに?

「2週間後の日曜日の午前かな。どこかの畑にたぶんいるから探してくれ」と。

スマホだって持ってたし、現にさつま芋が割れているのはなぜかと、ネットで検索してたと言っていた。でも、連絡にスマホを使う気はサラサラなさそう。なんかつかみどころのない約束をして帰ってきた。

でも、実はあまり困ってない。むしろ面白がってるかも。案外直ぐに見つかる予感もあるし。これが、きっとおじさん流。枠にはまらないと言うか、自由人というか・・・

豊かな人間力

「馬糞50円」というのも目を疑う商品。それも駄菓子みたいな値段設定で。

せめて牛糞ならまだわかるんだけど・・・。ホームセンターで見かけるし、私たちの畑でも使ってるし。

聞けば、近隣にある大学の馬場で貰ってくるんだそう。向こうは処分にお金を出してたのを、タダで引き取ってもらえて大喜び。こっちもタダで手に入れて大喜び。お互いにウィンウィンだと。

その馬糞に、おがくずとおからを混ぜて土にすき込めば、いい野菜ができると喜んでいた。

全部タダで?と聞けば、大きくうなずく。こんな地域密着型で、馬糞の「袋は返してね」というエコな方法、どこかで表彰されてもいいようなアイディアじゃないかと思うのだけど。

お金は全く動いてないけど、うまく資源を循環させて、みんなが喜ぶ。こんなの考えつくおじさんの人間力すごくない?

『半農半Ⅹ』土を耕してれば豊かになれるというものでもなさそう。おじさんのような豊かな人間力があってこその『半農半X』なんだろう。

まとめ

好きな農業をして、それが皆に喜ばれて、喜ばれることがまた自分に帰って喜びになり・・・

おじさんみたいに生きてると、お金の価値なんて些細なものに思えそう。

私が心豊かに年を重ねるためには、まず自分を耕すことが大事だとわかった。そのために、不満ばかり言わない、こんなことから始めたい。