「ほら、お金は心配いらないから!」
延長せずに定年退職を決めた夫が、自作の老後資金シミュレーション表を自慢気に出してきました。
私の心配は、そんな生活費のことじゃないのに。
長く患ったり、介護状態になったり、老人ホームに入ることになった時のお金。それから、老親の介護費用、学生の息子の今後・・・
要らないかもしれないけど、要る時には激震が走るお金。それ、この表に入ってないよね。
余計不安が募りました。もっと節約に励まねばと殺伐とした気分になりました。
豊かな老後を目指して貯金してきたのに、どうしてこうなっちゃったんだろう。
頭の中でグルグルしている不安を書き出してみました。そう、見える化です。
そうしたら、たったそれだけで安心できたんです。使ってっもいいんだと。
老後の第一歩、お金との距離感がわからず四苦八苦した体験談。
老後の不安は、シミュレーション以外
まだまだ先だと呑気に構えていた。というより、まったく想像できていませんでした。無収入の意味。
通帳に入金がないのに、使った分だけ貯金が減っていくんです。
定年を華やかなゴールだと、勝手に想像していました。「いっぱい旅行して、美味しいもの食べて、悠々自適に・・・」と。
貯金がどんどん減るという現実に、そんな夢は砕け散ります。
シミュレーションは生活費だけ
ひと頃、金融庁市場ワーキング・グループの報告書が「老後2000万円問題」として注目されました。この内訳も生活費しか含まれていなかったと思います。
支出については、特別な支出(例えば老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用など)を含んでないことに留意が必要である。さらに、仮に自らの金融資産を相続させたいということであれば、金融資産はさらに必要になってくる。(2)と合わせ、早い時期から生涯の老後のライフ・マネープランを検討し、老後の資産取崩しなどの具体的なシミュレーションを行っていくことが重要であるといえる。
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」令和元年6月3日 p17
夫のシミュレーションは、生活費に税金が含まれていました。
老人ホーム代はもちろん、家や車のメンテナンス、冠婚葬祭費用も入っていません。交際費・医療費等もなし。
もともと、生活費は心配していません。
家計簿をつけてきたので把握できています。むしろ夫のシミュレーションのヌケが大いにきになります。
節約はどちらかと言えば得意です。でも、老後に緊縮は寂しすぎます。
老後の不安は、妄想だらけ
私が不安なのは、生活費以外、シミュレーションに含まれてない特別な支出です。
入用になると大きいけれど、必要ないかもしれない費用。夫はまったく気にしていませんが、私の心配はこの5つ。
- 有料老人ホームの費用
- 病気や介護費用
- 親の介護費用
- 子の自立までの費用
- 天災で家がダメージを受けた時の費用
他にも、想定外の事件が起こる可能性だって十分考えられます。
例えば、この本のように。
『老後の資金がありません』著者:谷垣美雨 出版社:中央公論新社 2018/3/23
次々に想定外の事件が起こって、老後資金がなくなっていくというドタバタを、面白おかしく書いています。
まったく将来は不安だらけ。
考え始めると、不安が頭の中でグルグルしながら、膨らんでいく一方。
老後の不安、対策を講じる
上記5つの心配に1つずつ、対処できることがあるのか考えてみました。
長生きのリスク
1.有料老人ホームの費用
2.病気や介護費用
これは長生きのリスクです。高齢になるほど、病気になる可能性も増し、心身ともに衰えてきます。
特に有料老人ホームに入ることになった場合、費用がかさみそうです。
義父の介護を担った経験から、自分の介護は外注がいいと思っています。できれば、ご飯の美味しい所に入りたいし、高確率で老人ホーム代はかかるでしょう。
どうやら夫は、私をあてにしているようですが、そうせざるを得ないのか、夫の分の老人ホーム代も出せるのか・・・
こんなリスクに打つ手は2つ。少しでも長く“健康でいる”こと。“その時にお金を出せる“ようにすること。
そのために、こう決めました。
- 食事と運動に気を配り、健康的な生活をする
- 年金の支給を遅らせる
年金の支給を遅らせると、“貰い損ねるリスク”も気になりますが、ここは“長生きのリスク”を優先させます。長生きしてお金が枯渇するのだけは避けたいから。
当面は、体力があり無理も利きます、なんとでも暮らせるでしょう。頑張りたくてもどうにもならない今の親の立場になった時の備えを、厚くしておこうと決めました。
健康的な生活については、糖尿病予備軍になった時に見直しました。↓
親の介護
両親は80代。夫婦2人で暮らしていますが、そろそろ介護者として心の準備が必要になってきました。
遠方に住んでいますので、いざとなったら交通費もかかります。親にちゃんと蓄えがあるのか、気になりながら聞けずにいました。
この際思い切ってそんな話を持ち掛けたところ、余裕はないものの最悪の状況にはありませんでした。当面の私の金銭的負担は、交通費程度だとわかりました。
遠距離介護のための体力作りに励むことにします。
子の自立
私の節約に、あまりにも悲壮感が漂っていたんでしょう。
ある日大学生の次男が言います。
「かあちゃん、どんどん好きなことにお金使ったら?」「ぼくたちはぼくたちで稼ぐから」と。
不安がらせて申し訳ない気持ちもしますが、次男が前向きに生きる意欲を持っていることがわかり、安心しました。
思いがけず子の自立を促したようです。
これも、心配はいりませんでした。
天災について
私が住む関東では、近い将来大地震が来ると言われています。
高くて迷いましたが、しっかり地震保険に加入することにしました。安心を買いました。
まとめ
私の老後の不安は、不透明な特別な支出。
考えたらきりがありませんが、見える化したことで、対策を講じることができました。
長生きのリスクは、日々の健康管理と、年金支給を遅らせることで。親の介護・子の自立も、案ずるより産むがやすし。天災については、防災対策をし保険にも加入したので、一安心。
老後の資金は、いくらあれば安心するというものでもないようです。
私の場合は、不安を見える化することが安心につながりました。