「あたかも蓼科の別荘に住んでるかのような庭に!」
そう言って作ってもらった庭です。
別荘持ってませんけど・・・
狙い通り、住宅地のど真ん中というのに、朝カーテンをあければ緑が目に心地よく、石をうがった水たまりで小鳥が水浴びします。
小さなスペースで野菜を作り、ベリーやレモン・柚子も収穫します。そうして、天気が良ければテラスごはんやバーベキュー。
ずっとやりたかったこんな暮らし、狭い庭でおままごとみたいに実現しました。
うちに帰れば、スローな暮らし。
この現実とのギャップ、非日常さがたまらない。
雑木風の庭の心地よさと、そんな庭を作ってくれた造園家を紹介します。
雑木の庭の包容力
外とつながった暮らしがしたくて、家を建てました。
最初っから庭ありきの家作りです。
私は田舎育ち。アウトドア派の父と、何でも手作りする母のもとで育ちましたから、同じような暮らしを息子たちにもさせたかったんです。ここ横浜で。
すでに育っちゃいましたが・・・
もちろん、そんな贅沢な広さは望みようもなく、かといって拠点を変えるほどの根性もない。
そこで苦肉の策が、「あたかも蓼科の別荘に住んでるつもりの庭」をつくることでした。
蓼科は私が大好きな場所。そこでスローな暮らしをしている気分に浸ろうかと。
スローな暮らしのための庭
私の思い描く庭は「見て楽しめ、出て楽しめ、そして収穫ができる」庭。
こんなものがあればいいと考えていました。
- 雑木風の庭
- 畑
- 実のなる木
- 縁側
- テラス
家を建てた建築家に、縁側とテラスは作ってもらいましたが、庭は「苔むす和の庭」を勧めてきます。
「これはまずい」と、自分で造園家を探すことにしました。
図書館でどっさり本や雑誌を借りて来ました。ネットで検索もしました。
雑木風のきれいな庭を造る造園家はたくさんいます。でも、果樹も畑もっていう実利も兼ね備えた庭ってないんです。
やっと見つけたのが、
彩苑の栗田さん。
木も、果樹も、野菜も草花も混在した元気のいい庭、それでいてきれいな庭、やっと見つけました。
癒しの庭、街に貢献する庭
大きな古ぼけた鞄を抱えて、ひょうひょうとやってきた栗田さん。
「うんうん」と、微笑みを浮かべて要望を聞いてくれます。そうして、介護を必要とする義父が同居していることを知り、こう提案してくれました。
「癒しの庭をつくりましょう」
庭を作るときは「家とケンカしないように」と家との調和をまず考えるのだそう。
そうして、街に馴染むよう、道いく人に景色をおすそ分けできるようにと考えるのだとか。
庭が街に貢献する、素敵な考えかたを教わりました。
「ここは日当たりが良いから好きなものを育ててみたら」と完成させないのも栗田さん流。
今、そこを畑と呼んでいます。
庭の魅力と人の魅力
夫婦そろって、すっかり栗田さんの人となりに魅了されてしまいましたが、どうやら、お弟子さんたちもその口のようです。
曲げわっぱのお弁当箱をもってきた職人さん
なんと「無償でいいから」と脱サラして、栗田さんの元へ押しかけて来たと言います。
毎朝5人分のお弁当作りをしているパパで、その弁当箱がなんと秋田の曲げわっぱでした。ジャズのレコードの収集家でもあるそうで・・・
うちのおひつも曲げわっぱ、岩鋳の鉄瓶等、食のこだわりで話が弾みました。
柚子ジャムの職人さん
元建築士で、図面を引くより現場が好きで転職したという人。
自転車置き場や玄関アプローチを作ってくれました。家を建てた工務店の社長が、普通ここまで丁寧にやらない・・・と感心してました。
料理にも造詣が深く「柚子ジャムは種をとってミキサーで作ると楽」と教えてくれました。庭で採れた柚子は、毎年そのやり方でジャムにします。
2人とも、好きを追求する自由人。
こんなメンバーで作ってくれたのだから、どうりでうちの庭ものんきで味わい深いわけです。
雑木の庭の楽しみ
庭ができて5年。
1本1本が大きく成長して、ちょっと植えすぎた感も・・・
気持ちよく育った木は、夏に心地いい日陰を作ってくれますが、秋には大量の落ち葉掃きに追われます。
伸びすぎた枝に気を使いながら出入りしないといけなくなって、新聞配達の方に悪いなぁと思ったり。
自然淘汰でいつの間にか姿を消したものもあれば、鳥の糞からでしょうか、見知らぬ木の芽も生えています。
まだ寒い時期に、すでに芽がついてるのを知って感動したり・・・
面倒なこともあるけれど、それも含めて全部おもしろい。
スローな暮らし
天気の良い日は、庭を見ながらテラスでご飯を食べるのが習慣になりました。夫と二人ご飯も、これなら間が持ちます。
小さな畑では、これまで、トマト・ナス・キュウリ・スナップエンドウ・万願寺唐辛子・コマツナ・サンチュ・ネギ・三つ葉・パセリなどを育てました。上手くいったりいかなかったり・・・
上手に作りたくて、畑教室に通い始めました。
レモンや柚子、ジューンベリーは毎年収穫し、とことん使い倒しています。フレッシュなジューンベリーパイは長男のお気に入り。
夏には梅干しを庭に広げて天日干し、秋には、渋柿を軒先に吊るし悦に入ります。
「嫁に出しましょう!」と栗田さんが惜しみつつ置いてくれた水盤には、狙い通りに小鳥が水浴びにやってきて、バードウォッチングにも興味がでてきたところ。
庭が、私を家の外にも誘ってくれるんです。
木が育ち、庭が育ち、人が育つ
手が付けられなくなったら、剪定してもらいます。
栗田さんは、木に話しかけながら剪定するんです。
シンボルツリーの山法師には「やっとここんちの顔になってきた」とほめ、元気な梅もどきには「この塀の上で生きてなさい」と。
庭には花や草木だけじゃなく、毛虫やトカゲ、ハチも来ます。
「花はいいけど毛虫は嫌だ。はダメだよ!みんな居ての庭だから」そう、私もしかられました。
こうやって庭との付き合い方も教わりました。
まとめ
毎日見ても見飽きない。だからカーテンも開けっぱなし。
こんな庭のある暮らしに満足しすぎて、益々出不精になってるかもしれません。反対に人を呼びたくてしょうがない。
緑があふれる(すぎる)庭を、心地よく思ってくださる人が居て、通りすがりに褒めてもらうこともあります。
庭が繋いでくれる内と外。
視野も家の外へと広がります。こんな庭を持てて有難いなあと思っています。