義父と暮らし始めたとたん、家のニオイが変わった。
新築したばかりの家だから、「ただいま」と玄関開けると、無垢の木とイグサの畳、そんな初々しい香りが迎えてくれてたのに。
なんだろう?この古ぼけたニオイ・・・
要介護の義父を迎え入れる覚悟はしてたつもり。
介護は先が見えないもの。だからしっかりと距離をとって、ビジネスライクにやっていこう!そんな風に家族で申し合わせていた。
それなのに、この怪しいニオイが否が応でも、私の生活を介護一色に変えた。
とにかくこのニオイを消さなくては。
アレコレ試して効果を実感できたのが、カタログハウスの脱臭機『オー・フレッシュ』。それと、イレギュラーな間取りだったから使えた『換気扇』。
大げさではなく、私はこれで精神的に救われた。
介護の臭い
このニオイを、何が何でも消し去りたい。
衝動的に買いに走ったのは、無印良品のアロマディフューザー。アロマは確かオレンジだった。柔らかな明かりとリラックス感のある香りに包まれてホッと一息。
でもこの香り、イヤなニオイを取り去ってくれるわけではない。あくまでも癒し。
高齢者特有の臭い
これは高齢者特有のものなのか、義父だからなのか・・・
息子の調査では「じーちゃんの頭のニオイじゃないか」という。お風呂嫌いの義父だから、あながちハズレてもなさそうだけど、それだけとは思えない。
寒がりのゆえ、エアコンをガンガン効かせた部屋にこもってる。いわば引きこもり状態。この汗ばむ部屋で、歯磨きもせず、手洗いもせず、始終おやつをこぼしながら食べている。下も緩いときたら・・・
それでいて、窓を開けようとすれば「寒い!あんたも年をとったらわかる」と一喝。
そんなカオスな空気が、新築の家を駆逐する・・・
何処にいても義父の存在を強く意識する。一緒に暮らすってこういうことかと、今更ながら知った次第。
対応できること
とにかくニオイを何とかすれば、一線が引ける。
ニオイは元から断たないとダメだというが、元ははっきりしているけれど、ここを断つにはどうしたら?
介護のニオイには、こんなことが有効らしい。
- 清潔(入浴・歯磨き)
- 換気
- 排泄物の処理
- 消臭剤
義父にはそもそも清潔という観念がない。これには参った、言葉が通じないようなものだから。デイサービスの入浴もなんだかんだと理由をつけて入らずに帰ってくる。それで、寒いと言って窓を閉め切る。
私ができるのは、義父の部屋の掃除や、衣類寝具の洗濯を徹底することぐらい。もともと排泄物は部屋に置いてない。
となると、残るは消臭剤のみ。
ビーズの消臭剤や重曹をドカンと置いてみた。介護用消臭スプレーや、ストロングと書かれた消臭スプレーも吹き付けた。でも、さっぱり効果を感じない。効果を感じないどころか、無臭ならまだしも人工的な香りが最悪で、私はこの香りを嗅ぐとよけい介護を連想してイヤな気分になった。
空気清浄機は諦めた。
義父はダンプカーのように、車いすをゴリゴリと足で漕ぎ、邪魔なものはなぎ倒す。どこにそんな力があるのか謎だけど、ぶつけても、踏み倒してもガンガン進んでいく。「車いすのことは、わしが一番よく知っている」と。
部屋の臭い対処法
万策尽きて、ダメ元で購入したのがカタログハウスで販売している脱臭機『オー・フレッシュ』。もう他に思いつかなかった。
『オー・フレッシュ』
『オー・フレッシュ』は、ペットの臭いや生ごみの臭いに効果があるという。
まぁ義父も人間、動物といえないこともない。雑多なものが入り混じったニオイは、生ごみと被る・・・
とは言え、ホントに効くのか確証はない。
これまで、ニオイを消せたものは何一つなかった。マシにもなってない。それが、消えるとは思えない。カタログハウスのスペシャル会員になってるほど、カタログハウスに信頼を置いているから買ってみた。でも、こんな小さなもので・・・
本機の原型は、増田研究所がごみ処理場の悪臭分解のために開発した業務用プラズマ脱臭機です。この業務用の技術を家庭サイズに小さくしたのが本機です。本機をコンセントに差すと、プラズマ放電板でつくられた微量の「オゾン」と「ラジカル」が24時間、室内に放出されて、空気中の悪臭分子と結びつくと分解・無害化・無臭状態に変えてしまいます。
暮らしの道具ピカイチ辞典 2021-2022年版 p59
「少しでも良く効きますように」と願いを込めて、義父のベッドの真下に設置した。
放電しているような光と、カチッカチッと言う小さな音。耳の遠い義父は気にならないだろう。
設置したことをすっかり忘れていたら、ある日玄関のニオイが消えていることに気が付いた。
ホントに効いたんだ・・・
やっと介護と距離が取れた。
換気扇
部屋の外でこんなに効果があるなら、当然義父の部屋はもっと効果がでているのは間違いない。
そうは思うのだけど、いつもお菓子を食べたり、生活の営みは続いてるわけで、いうなればニオイの泉。どうもスッキリしない。
やっぱり換気したい。空気を入れ替えたい。でも、寒いのは嫌がられる・・・
窓を開けずに換気・・・
そうだ、トイレの『換気扇』があったじゃないか。トイレが近い義父のために、部屋にトイレをつけておいた。密閉性の低い吊り戸を開ければ直ぐトイレ。トイレの換気扇で部屋の換気ができるかも。
窓を開けなきゃ義父だって、換気しているとは気付かないはず。換気扇なら強制的に部屋の空気を排気してくれる。そして、新鮮な外気が給気口から入って来る・・・
窓を開けなくても、ちゃんと空気がキレイになる。そんな空気の循環を想像したら嬉しくなった。
スイッチを入れ、やっと人心地がついた。
トイレのついた部屋なんて、珍しいと思うけど、こうしておいてホントに助かった。換気扇をこんな風に使うとは想定してなかったけれど。
年をとるほど、寒がりになるし、部屋で過ごす時間は長い。生活を集約したような部屋のニオイは、必ず問題になる。高齢者の部屋に強制換気ができる換気扇。これ結構ありじゃないだろうか?
まとめ
ニオイはストレスになる。
ニオイの印象は強い。
部屋のニオイに、強烈な介護のニオイに、『オー・フレッシュ』と『換気扇』。これで私は助かった。