墓じまいと改葬、うんざりするほど手間と時間のかかる作業だった。
どんなお墓が良いか悩み、墓地を探し、新しいお墓を建て、いよいよクライマックスの田舎の墓じまい。
この一連の作業の中で一番気を使ったのは、まさにここ。『菩提寺に墓じまいをどう伝えるか』と言うことだった。穏やかにお別れしたい。
離檀料がどうのこうの、トラブルにならないためには・・・そんな情報があふれている。ってことは、かなりの確率でトラブルになるんじゃないか?と身構えていた。これまでほぼ面識もない菩提寺。いったいどのくらいの費用が掛かるか検討も付かない。
それがやってみたら拍子抜けするほど和やかに、費用もあまりかからず済ますことができた。
秘訣は、丁寧なコミュニケーションだったと思っている。
墓じまいは決まったやり方があるわけじゃない、金額も決まってない。それだから、感情がかかわる部分が大きいと感じる。そこのところを丁寧に埋めていく。菩提寺、親戚と、ひとりひとり・・・
がんばった甲斐あって、上手くいった。
そんなわが家の墓じまいと、大まかな費用について。
墓じまい費用とコミュニケーション
1人残った義父をわが家に呼び寄せた時は、「次は、実家の処分と墓じまいをしよう」と、やる気満々dでいた。
実家の処分はちゃくちゃくと進んだものの、お墓の方は早々に頓挫。
なぜって、墓じまいのスタートは、新しいお墓を作るところから。お墓ってどうやって作るんだろう、なにから手を付けるんだろうと、途方に暮れて気持ちがすっかり萎えてしまった。
義父の葬儀が視野に入り、やっとお尻に火が付いた。
墓じまいは人とのかかわり
墓じまいは手順が多く、人とのかかわりも多い。それぞれ交渉し、その都度費用も発生する。その辺りが、面倒で時間もかかるところ。トラブルの原因になるところかも。
《我が家の墓じまい》
- 新しいお墓を決める
- 墓じまいの前振り挨拶(菩提寺・親戚)
- これまでのお墓がある市に改葬許可証を郵送で取り寄せ
- 墓じまいを依頼する石材店の選定
- 閉眼供養の日程を詰める(菩提寺・石材店)
- 改葬許可証提出、閉眼供養・遺骨取り出し
- 遺骨の移送
- 新しいお墓で開眼供養
1.新しいお墓を決める についてはこちら↓
2.新しいお墓が決まったところで、菩提寺や親族に墓じまいの伺いをたてようと、手土産持参で帰省した。事前に電話で日程を調整済み。
4.墓を処分して更地にしてもらうのは地元の石材店。地元の友人にリサーチを頼み、評判の良い石材店を紹介してもらう。こちらにも帰省時に挨拶。
5.閉眼供養は、夫と菩提寺の住職と石材店が参加。これも、3人の調整、準備等のため何度か電話連絡。
こういう電話でのやり取りも、メールに慣れた私たちには、けっこう気の重い作業だった。しかも相手は、普段会わない年配の方々。慣れないことにに加え、失礼のないよう気も使う。
3.6.墓じまいの手続書類については、お墓のある市のホームページの記載どおり。これは一人でこなす作業だから気楽。
墓じまいの困惑
墓じまいにまつわるレアな体験をした。
骨壺の取り出しは石材店がしてくれたが、骨壺が水に浸かっていた。こんなときどうするか?
「天日干しすると良い」とアドバイスを貰った夫。言われた通り庭に新聞紙を広げて天日干し。時に風が吹いて舞い上がり・・・思わず悲鳴。几帳面な夫はしっかり乾かしたかったらしく、そんなことをに2回も繰り返した。
骨壺をどうやって持ち帰ったらよいかという事も、頭を突き合わせて悩んだ事件。
正しい運び方なんてだれも知らない。
最終的に、それとわからないように梱包し、夫がコストコの大きなショッピングバックに入れて、新幹線で持ち帰った。「まさか骨壺が入ってるなんて思わないだろうな」と。
宅配も考えたのだが、品名でつまずきやめた。もし宅配するならゆうパックのみ扱っているらしい。
その後、新しいお墓の住職に開眼供養をしてもらい、無事納めることができた。
墓じまいは、立つ鳥跡を濁さず
冒頭に書いたように、菩提寺に墓じまいの意向を伝えることには、細心の注意を払ったつもり。
『菩提寺との付き合い』を親からなにも聞いてないし、教えを乞う叔父や叔母ももう年をとりすぎてわからない。住職とお会いしたのも、義母の葬儀の1度っきり。
どう切り出したらいいものか?お布施はいくらくらいなのか?離檀料って必要なんだろうか?とずいぶん悩んだ。
でも、旅立ちだから「立つ鳥跡を濁さず」でいくことに決めた。これまで檀家として祖先がお世話になったお礼や感謝の気持ちを、きちんと伝えようと。憂いを残さず撤収しようと。
結果、拍子抜けするくらいすんなり了解を頂き、離檀料も不要とのこと。『案ずるより産むが易し』
墓じまいの費用
墓じまいの費用(新しい墓覗く)はこの4つ。
- お墓の撤去費用
- 閉眼供養のお布施
- 離檀料
- 交通費
お墓は一族の所有する土地にあり、撤去費用は、石材店に20万円弱。
菩提寺のお布施については、離檀料もなかったので、石材店の費用の半額程度を納めた。これで良いのか少なかったのか、わからないのだけど・・・
それと、宿泊を含めた帰省代が2回分と手土産代。大雑把に40万といったところか。
まとめ
改葬しよう!と重い腰を上げてから開眼供養まで、トータル1年半。
最初の1年は新しいお墓作りにかかりっきり、次の半年は田舎の墓じまい。
今思えば墓じまいをしている間は、先祖の事、子孫の事、自分の人生をいろいろ考える時間になった。
菩提寺とも、良い関係でお別れできてホッとしている。なんといっても、先祖あっての私たち。そう思うと菩提寺にも感謝しかない。
今は日常にお墓参りがある。「お彼岸だから」「命日だから」とぶらりと花を買って、散歩がてらお参りできるようになった。